医療関連感染情報の季刊誌 Vol.25 No.1 (2020)

感染管理の視点に基づいた注射剤調製

中川 博雄(長崎大学病院 薬剤部)

 注射剤は患者の体内に直接取り込まれるため、薬剤師が無菌的な環境下で調製することが望まれる。しかし、一般病棟の非無菌的な環境下で、看護師による注射剤調製が行われている施設も少なくない。過去には、一般病棟で調製した注射剤の一部から微生物が検出されたとの報告がある。表1に示すように、薬剤部の無菌調製室やクリーンベンチと異なり、一般病棟の点滴調製台では落下微生物が多く確認されている。これは一般病棟の点滴調製台で調製した注射剤の場合、微生物汚染の危険度も高くなることを示唆している。また、仮に無菌的な環境下で調製した注射剤であっても、一般病棟で注射剤の追加混注を行ってしまい、無菌性が破綻してしまう場合も少なくない。しかしながら、未だに一般病棟の非無菌的な環境下での注射剤調製に関するガイドラインは整備されていない。そこで今回は、表2 に非無菌的な環境下における注射剤調製の手順および注意点をまとめたので紹介する。

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