医療関連感染情報の季刊誌 Vol.25 No.2 (2021)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの 1 年を振り返る ~長崎大学の取り組み~

泉川 公一(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 臨床感染症学分野 / 長崎大学病院 感染制御教育センター)

はじめに

 世界的な猛威をふるう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、これまでの生活が一変した。ユニバーサルマスキング * で常に飛沫感染予防対策を行い、手洗いの励行など、元来、医療機関で行ってきた院内感染予防の対策が、一般の皆さんの常識に変わってきた。加えて、3 密を避ける、ソーシャルディスタンスをとるなど、新しい生活様式が提言されて、ともすれば、不自由な生活を強いられている。
 COVID-19 の波は、最西端に位置する長崎県においても、大都市に比べて遅れてやってきて、現在は、第 3 波の大きな波に飲み込まれる危機的状況に陥っている。この 1 年あまりでも、クルーズ船のクラスター、医療機関や高齢者施設におけるクラスターなど、様々な経験をし、COVID-19 の感染対策が難しいことを実感している。このようなパンデミックにおいて、地方における大学の役割は明確であり、大学病院は行政と連携し、医療体制を適切な形で維持し高度医療を実践する必要がある。
 長崎大学では、プラネタリーヘルス(地球の健康)への挑戦を合い言葉に、COVID-19 の制圧に様々な角度から取り組んでいる。本稿では、2021 年 2 月現在のCOVID-19 の現状と長崎大学における取り組みや課題を紹介したい。
*人々が常時マスクを着用する感染予防策

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