医療関連感染情報の季刊誌 Vol.25 No.3 (2021)

医療者への新型コロナウイルスワクチン 接種が行われた医療機関での取り組み

岩田 敏(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 感染症部/感染制御室)

医療者への接種においても、接種前の準備は重要である

 国内での新型コロナウイルスワクチン(以下新型コロナワクチン)の接種は、2021 年 2 月 14 日に特例承認されたファイザー社製の mRNA ワクチンを用いた医療者への先行接種として、全国 100 カ所の国立病院機構、地域医療機能推進機構の病院および労災病院で 2 月 17 日より開始された。私が所属する国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院では、新型コロナワクチン接種における連携型接種施設として、3 月 26 日に最初の接種が開始された。ワクチン供給の問題で、当初の予定よりもかなり遅れたかたちであったが、2,000 人以上の院内関係者に対して、 5 月 14 日までに 2 回目の接種を完了した。
 院内での接種を行うに当たっては、医師(副院長、感染制御室医師、産業医、ICU 医師)、看護師(副看護部長、感染制御室看護師、ICU 看護師)、薬剤師(感染制御室薬剤師)、事務(医事課、総務課)からなるワーキンググループを作り、接種日・接種対象者の選定、接種対象者への連絡・情報提供資料の作成、ワクチンの確保・輸送・管理、接種会場の設定・準備・運用、 V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)を用いた登録等についての検討を重ねて準備を進めた。安心・安全・円滑に大勢の院内関係者に対して接種を行うためには、様々な状況を勘案した接種前の準備が重要である。

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