医療関連感染情報の季刊誌 Vol.26 No.1 (2022)

新型コロナ感染症クラスター発生施設における外部支援 ー問題点の抽出と教育・トレーニング

坂口 みきよ(国立研究開発法人国立国際医療研究センター AMR 臨床リファレンスセンター)

はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生した場合、発生届を受理した保健所はクラスター対策としての積極的疫学調査を行うとともに感染対策を指導する 1)。地域の発生状況によって保健所による活動が困難となった場合は、自治体や保健所の要請を受けたクラスター対策支援チームが、医療施設や高齢者・福祉施設等(以下施設)の感染対策支援を行っている 2,3)。クラスター発生施設の感染対策は、早期の感染収束が目標となる。そのためには、クラスター発生施設の感染対策上の問題点を適切に抽出し、効果的な教育・トレーニングを行う必要がある。本稿では、筆者のクラスター対策支援チームでの経験から、感染対策支援時に行う「問題点の抽出」と「教育・トレーニング」を紹介する。
国内の COVID-19 対策を目的として厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部にクラスター対策班が発足。国立感染症研究所感染症疫学センターの職員、実地疫学専門家養成コース研修生・修了生を主体としてクラスター対策班接触者追跡チームが構成され、各都道府県の派遣要請に応じて対策支援を行う。

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