医療関連感染情報の季刊誌 Vol.26 No.2 (2022)

心理的安全性

緒方 泰子(東京医科歯科大学大学院 保健衛生学研究科)

組織やチーム内で間違いを指摘できない、気がかりを報告できない

 日頃の感染管理の仕事において、確固たる自信はないが「気がかり」なことがある場合、あなたは、所属するチームのメンバーに、そのことを率直に伝えることができるだろうか。
 例えば、ある新人看護師は、院内の感染対策において「気がかり」なことがあるが、もしそれを伝えたら、チームのメンバーである先輩看護師達に自分の発言を責められるかもしれない、と不安を感じ、気がかりなことを質問できずにいる。また、“ある病院の看護師は、主治医が、妊娠 27 週で生まれ「ハイリスク児」と考えられる双子に対し、ある薬の処方をしそびれているように感じ(気がかり)、そのことを、それとなく伝えようと思ったが、行動には移さなかった。前の週、同じ医師が、指示に疑問を投げかけた別の看護師を人前で叱責したことを思い出したためである 1)。”
 これらは、彼らの所属するチームに、「心理的安全性」が欠けている例である。

医療関連感染情報の
季刊誌

CARLISLE