医療関連感染情報の季刊誌 Vol.26 No.2 (最新号)

感染症の対応に重点をおいた薬局の設立

瀧藤 重道(グラムスキー薬局)

設立の背景

 COVID-19 が流行したことによって『新型コロナウイルス感染症対策 薬局向けガイドライン』が策定されたが、それまでは薬局での感染対策はあまり重んじられてこなかった。インフルエンザの流行シーズンに待合室でインフルエンザと診断された患者さんの真横にいつもの薬をもらいに来る他の患者さんがいる、というのもまれな話ではない。
 ある感染症専門医は薬局の感染対策は「ざる」と言う。これは紛れもない事実で COVID-19 に限らず医療機関の一つである「薬局」としては解決しなければならない課題である。今まで感染対策が重視されてこなかった理由として①設備、消耗品の面で導入、維持コストがかかる、②メリットが目に見えにくく効果の実感が少ない、③そもそも専門家が皆無である、などが考えられる。特に①のコスト面は薬局経営上、大きな問題となる。病院には感染対策に加算があるが薬局はない。出費は多いが入ってくるものがほとんどない。多くの薬局が感染対策に力を入れられない原因である。 
 COVID-19 で露呈したこの問題は、もともと感染対策を意識して設計されてこなかったところに後からパーテーションを付けたりするだけでは根本的にはなかなか解決しない。1 から考えて設立する必要があると思い、感染対策を意識した「グラムスキー薬局」を設立した。コストはかかるが、感染対策の重要性を理解している患者さんをターゲットに集客が可能で、コスト面のデメリットを解決できるのではないかと考えた。

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