医療関連感染情報の季刊誌 Vol.25 No.3 (2021)

パプアニューギニアにおけるCOVID-19 - WHO 短期専門家としての派遣-

小林 謙一郎 (日本赤十字社和歌山医療センター 感染症内科)

 パプアニューギニア独立国(PNG)は、南太平洋にあるニューギニア島の東半分と周辺の島々からなり、面積は日本の約 1.2 倍、人口は 900 万人弱です 1)。4 つの地方(山岳、島嶼、モマセ、パプア)があり、首都はポートモレスビーです。陸路の交通網は発達しておらず、都市間の移動には主に空路を使用します。PNG は、医療スタッフ不足や設備の老朽化、保健衛生及び医療システムの脆弱性などにより、医療水準は決して高いとは言えません。各地方に総合病院がありますが、日本や欧米レベルの医療を提供できるのは首都にある総合病院だけです。このような国内の医療事情から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が一旦流入したら、地域での流行拡大が懸念されていました。

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