医療関連感染情報の季刊誌 Vol.26 No.3 (2022)

認知症ケアにおける 感染対策上の課題

西 川 菜央 (国立病院機構 仙台西多賀病院/認知症看護認定看護師)

はじめに

 2019 年に中国武漢で確認されたCOVID-19 は、瞬く間に広がり我々の生活を一変させてしまった。マスクの着用や手指消毒など、感染対策が日常生活の一部として定着しているにも関わらず、感染者数は日々増加している。医療の逼迫も常に問題となっており、特に認知症高齢者における感染対策については多くの医療従事者が苦悩している現状がある。認知症の症状である記憶障害や理解力の低下により、感染対策のための適切な行動をとることが困難となり、入院環境に上手く適応できないことで医療従事者のみならず、認知症者本人も辛い思いをされていることも多い。認知症の人が適切に感染対策を行えるようになるためには、まずは医療従事者が認知症に対する正しい理解を持ち、適切な認知症ケアを実践することが感染対策に繋がると考え、認知症ケアにおける基本的な対応について述べる。

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