感染対策情報レター

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)について

2002年7月5日号のMMWRが、世界で初めて耐性遺伝子vanAを持つバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌が2002年6月米国内で臨床分離されたことを報告しました1)。以下その解説を述べますが、詳細については<付録>の全文邦訳を参照下さい。

注:(2005年6月8日付記)
黄色ブドウ球菌全般とMRSAについては、「病院感染対策のポイント」第2章No. 3~6 と「消毒薬テキストIV-2-1)-(1)を参照ください。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はグラム陽性の球菌でヒトの常在菌でもあり、通常は健常人に害を及ぼさない弱毒菌です。ただし場合によりヒトにおいて化膿性感染などの起因菌となり、また食物中で毒素を産生した場合食中毒の原因となることもあります。病院では主に易感染患者において手術部位感染、血流感染、呼吸器感染、尿路感染などの起因菌となり、感染部位によっては難治性となって時に死因となることもあります。病院感染の起因菌として黄色ブドウ球菌は抗菌薬耐性の有無にかかわらず重要な細菌といえます。

ペニシリンが普及する前の世界において黄色ブドウ球菌は、外傷などにおける重篤な化膿性感染の起因菌として市井でも脅威のある細菌でした。1940年代におけるペニシリンの量産化以降、有効な抗菌薬療法が普及し、20世紀後半には治療の通常可能な感染症となりました。しかしながら早くも1950年代にはペニシリン耐性黄色ブドウ球菌が問題となり、その後それらの耐性を克服するべくメチシリンなどのβ-ラクタム薬などが相次いで開発されました。1961年には英国でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が臨床分離され2)、現代医療の進展に伴う易感染患者の増加を背景に、1980年代には各国においてMRSAが多剤耐性を持ちながら病院内に蔓延し、病院内で接触伝播する難治性感染症の起因菌として重大な細菌となりました。1958年ブドウ球菌感染症の注射薬として米国で認可されていたバンコマイシンは、黄色ブドウ球菌大腸炎およびクロストルジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)偽膜性大腸炎の経口薬として、またMRSA感染症にも有効な抗菌薬として米国において広く繁用されました。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が最初に分離されたのは1986年のヨーロッパですが3)、米国では1989年以降1990年代にかけてVREが病院内で急速に蔓延しMRSAと並んで重大な多剤耐性の病院感染起因菌となりました。日本でも1980年代にMRSAが病院感染上の大きな問題となり、同じく80年代にクロストリジウム・ディフィシル偽膜性大腸炎などの経口薬として認可されていたバンコマイシンが1991年にMRSA感染症の注射薬として認可されましたが、米国での教訓を基にそれ以前の米国よりも慎重な投与が行われてきたと思われます4)

しかしながら1996年、日本においてバンコマイシンに低感受性(vancomycin MIC=8μg/mL)を示す黄色ブドウ球菌が世界で初めて臨床分離されました5)。このバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌はMRSAであり、その後米国でVISA (vancomycin-intermediate Staphylococcus aureus)またはGISA (glycopeptide-intermediate Staphylococcus aureus)と分類されました6)。バンコマイシン耐性の判定基準は国や学会によって異なりますが、米国のNCCLS(臨床検査標準全国委員会)または日本の厚生省研究班ではintermediate(中等度または判定保留)がMIC=8~16 mg/L、resistant(耐性)がMIC≧32mg/Lとなっています4,6)。英国のBSAC(抗菌薬化学療法学会)ではresistant(耐性)がMIC≧8μg/mLと定義されており6)、このバンコマイシン低感受性MRSAはVRSA (vancomycin-resistant Staphylococcus aureus)とも呼ばれました7)。その後米国、フランス、ドイツ、英国6,8) からVISAの臨床分離が相次いで報告されました。これらのVISAにおいて腸球菌のバンコマイシン耐性遺伝子であるvanA(腸球菌においてvancomycin MIC≧64μg/mL、teicoplanin MIC≧16μg/mLなど高度耐性をもたらす)、vanB(腸球菌においてvancomycin MIC16~64μg/mLなどをもたらす)4)などの検出は報告されていません。

今回、米国の判定基準におけるVRSAが初めて臨床分離されたことが報告されました1)。さらにこのVRSAはメチシリン・オキサシリン耐性遺伝子であるmecAのみならずvanAを持つことが確認されており、これも臨床分離株として初めての報告です。米国内で分離されたこのVRSAはバンコマイシンに対してMIC>128μg/mL、テイコプラニンに対してMIC>32μg/mL、オキサシリンに対してMIC>16μg/mLの耐性を示し、vanAを持つVREと類似した耐性パターンを示しました。このVRSAは、外来透析患者で糖尿病、末梢血管疾病、慢性腎不全などの疾病があり足部潰瘍やMRSA菌血症のため繰り返しバンコマイシン療法を受けた40才の米国在住患者において、透析カテーテル動脈側穿刺部位感染の疑われたカテーテル抜去部位のスワブ検体とカテーテル先端などから検出されました。vanAが試験管内で腸球菌から黄色ブドウ球菌に接合伝達できることが既に示されていますが9)、この患者の足部潰瘍からVRSAと共にバンコマイシン耐性Enterococcus faecalisも検出されたため、VREからの遺伝子伝達によりVRSA が発生した可能性があると推論されています。なお、このVRSAはクロラムフェニコール リネゾリド、ミノマイシン、キヌプリスチン・ダルフォプリスチン、テトラサイクリン、トリメトプリム・スルファメトキサゾールに試験管内で感受性と報告されています。

1997年の段階でCDCは、バンコマイシン低感受性ブドウ球菌感染予防のための暫定ガイドラインを発行しています10)。米国におけるVISA(8例)/VRSA(今回)の分離事例ではおおむねこのガイドラインに基づいて病院内における厳密な接触予防策が適用されたと思われ、これまでのところ病院内における拡散の防止に成功しているようです。今回のVRSA事例ではそれをさらに厳格に適用して、当該患者の個室隔離、当該患者へのすべての接触における手袋・ガウン・マスクの着用と抗菌成分を含む石けんを使用しての手洗い、当該患者専用の機器による処置、当該患者専用のノンクリティカル器具の使用、当該患者ケア専任者の設置、関係医療従事者の感染対策に関する教育強化など特別な接触予防策が実施されました。

VISA/VRSAの分離報告に伴いCDCは1,10)、黄色ブドウ球菌分離株についてバンコマイシン耐性に関するMIC試験を行うこと、バンコマイシン耐性の確認されたまたは疑いのある黄色ブドウ球菌が分離された場合にはただちに地方衛生当局を通じてCDCに報告を行うことを米国内の医療機関に求めています。またCDCは米国内すべての医療機関において抗菌薬耐性菌の伝播を予防するための現行ガイドラインの遵守を優先事項として推進すること、抗菌薬の使用管理のための計画を立てること、また地方衛生当局においてVISA/VRSAを制圧するための計画を立てることの必要性を強調しています。

VISA/VRSAの分離報告に伴いCDCは1,10)、黄色ブドウ球菌分離株についてバンコマイシン耐性に関するMIC試験を行うこと、バンコマイシン耐性の確認されたまたは疑いのある黄色ブドウ球菌が分離された場合にはただちに地方衛生当局を通じてCDCに報告を行うことを米国内の医療機関に求めています。またCDCは米国内すべての医療機関において抗菌薬耐性菌の伝播を予防するための現行ガイドラインの遵守を優先事項として推進すること、抗菌薬の使用管理のための計画を立てること、また地方衛生当局においてVISA/VRSAを制圧するための計画を立てることの必要性を強調しています。

なお、VISAの消毒薬感受性はMRSAなどその他の黄色ブドウ球菌と大きな違いはないと報告されており11)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌に対する予防策において特別な消毒薬の選択をすることは特に勧告されていません。乾燥したノンクリティカル表面には通常0.1-0.2%塩化ベンザルコニウム液、0.1-0.2%塩化ベンゼトニウム液、0.1-0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、アルコール、200-1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液などを用います12)


<参考文献>

1.Sievert DM, et al: Staphylococcus aureus Resistant to Vancomycin — United States, 2002. MMWR July 5, 2002;51:565-567.
http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/wk/mm5126.pdf

2.Jevons MP: “Celbenin”-registant Staphylococci. BMJ 1961;1:124-125

3.Leclercq R, Derlot E, Duval J, Courvalin P: Plasmid-mediated resistance to vancomycin and teicoplanin in Enterococcus faecium. N Engl J Med 1988; 319:157-161.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=2968517&dopt=Abstract

4.厚生科学特別研究事業 バンコマイシン耐性腸球菌等対策に関する研究班: 薬剤耐性菌対策に関する専門家会議報告書 平成9年3月.1997.

5.* Hiramatsu K, CDC: Reduced Susceptibility of Staphylococcus aureus to Vancomycin — Japan, 1996. MMWR 1997;46:624-626.
http://www.yoshida-pharm.com/us/1997/970711a.html

6.Tenover FC, Biddle JW, Lancaster MV. Increasing resistance to vancomycin and other glycopeptides in Staphylococcus aureus. Emerging Infectious Diseases 2001;7:327-32.
http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol7no2/tenover.htm

7.Hiramatsu K: Vancomycin-resistant Staphylococcus aureus: a new model of antibiotic resistance. Lancet Infect Dis 2001;1:147-55.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11871491&dopt=Abstract

8.PHLS: Staphylococcus aureus with reduced susceptibility to vancomycin. CDR Weekly 2002;12:20.
http://www.yoshida-pharm.com/uk/2002/020516.htm

9.Noble WC, Virani Z, Cree RG. Co-transfer of vancomycin and other resistance genes from Enterococcus faecalis NCTC 12201 to Staphylococcus aureus. FEMS Microbiol Lett 1992;93;195-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=1505742&dopt=Abstract


10.* CDC: Interim guidelines for prevention and control of staphylococcal infections associated with reduced susceptibility to vancomycin. MMWR 1997;46:626-628,635.
http://www.yoshida-pharm.com/us/1997/970711b.html

11.* Kajiura T, Wada H, Itoh K, Yoshida S, Koyama Y, Hanaki H, Hiramatsu K: Effect of antiseptics and disinfectants on methicillin-resistant Staphylococcus aureus with reduced susceptibility to vancomycin. Abstract P.9.2.9. Fourth International Conference of the Hospital Infection Society, September 1998. J Hosp Infect 1998;40(SA):P.9.2.9.

12.* 大久保憲監修.消毒薬テキスト.吉田製薬株式会社.
III-2-1)-(3) ノンクリティカル器具
III-2-2) 物品
III-2-3) 環境

* 文献5)10)について邦訳(吉田俊介、小林寛伊訳: 緊急速報 バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌に関するCDC勧告.インフェクション・コントロール 1997;6:561-568.)が出版されています。その別刷と文献11)12)については弊社(電話:03-3381-2004、メール:info@yoshida-pharm.co.jp)までご請求ください。


<付録>

Staphylococcus aureus Resistant to Vancomycin — United States, 2002. MMWR July 5, 2002;51:565-567. の全文邦訳

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌 合衆国 2002年

黄色ブドウ球菌は病院および市井感染の起因菌である。1996年、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌の初めての臨床分離が日本より報告された。この分離株のバンコマイシン最小発育阻止濃度(MIC)試験結果(vancomycin MIC=8μg/mL)は臨床検査標準全国委員会(NCCLS)の定義する判定分類において中等度の範囲にあった。2002年6月現在までに、合衆国においてはバンコマイシン中等度黄色ブドウ球菌(VISA)による臨床感染例が8例確認されている。本報告はバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA) (vancomycin MIC≧32μg/mL)による初めての感染が合衆国のある患者において確認されたことを報告する。VRSAの発現により、抗菌薬耐性微生物の拡散防止と医療機関における抗菌薬使用管理のためのプログラムの必要性が改めて強調される。

2002年6月、糖尿病、末梢血管疾病、慢性腎不全の患者40才(ミシガン在住)においてカテーテル動脈側穿刺部位のスワブ検体からVRSA が分離された。患者はある外来透析センターで透析を受けていた。この患者は2001年4月より慢性足部潰瘍治療のため抗菌薬療法を多数回受けていたが、その一部にはバンコマイシンが含まれていた。2002年4月には足指壊疽の切断を受けたが、その後血液透析用動静脈グラフトの感染に起因するMRSA菌血症を発症した。その感染のためバンコマイシン・リファンピン療法を受け、また感染グラフトの切除を受けた。さらに6月、カテーテル動脈側穿刺部位感染の疑いにより臨時透析カテーテルを抜去された。その動脈側穿刺部位とカテーテル先端の培養によりオキサシリン(MIC>16μg/mL )とバンコマイシン(MIC>128μg/mL )に耐性の黄色ブドウ球菌が検出された。カテーテル抜去の1週間後、動脈側穿刺部位の治癒が観察されたが患者の慢性足部潰瘍の感染が観察された。潰瘍の培養からはVRSA、バンコマイシン耐性Enterococcus faecalis (VRE)、Klebsiella oxytocaが検出された。治癒後のカテーテル動脈側穿刺部位と両前部外鼻孔からはVRSAは検出されなかった。現在患者は臨床的に安定しており、念入りな創ケアとトリメトプリム・スルファメトキサゾールによる全身抗菌薬療法からなる外来治療が感染に効果を示しつつある。
カテーテル動脈側穿刺部位からのVRSA分離株は当初現地の病院検査室で市販MIC試験材料により同定され、ミシガン地方衛生部とCDCにより確認された。CDCにおいては伝統的な生化学試験、gyrA と16SリボゾームRNAをエンコードする遺伝子のDNA配列分析などの同定手法が行われた。腸球菌に特異な遺伝子の分子試験は陰性であった。微量液体希釈法によるMICはバンコマイシンで>128μg/mL、テイコプラニンで>32μg/mL、オキサシリンで>16μg/mLであった。この分離株は腸球菌からのバンコマイシン耐性遺伝子であるvanAを持っており、グリコペプチドに対するMICの傾向もそれと合致していた。またオキサシリン耐性遺伝子であるmecAも持っていた。この分離株はクロラムフェニコール リネゾリド、ミノマイシン、キヌプリスチン・ダルフォプリスチン、テトラサイクリン、トリメトプリム・スルファメトキサゾールに感受性であった。

他の患者、医療従事者、近親家族、他の接触者にVRSAが伝播したリスクを評価するため、疫学的・試験室的な調査が行われている。現在のところVRSAの伝播は発見されていない。この透析センターにおける感染対策状況が調査されたが、すべての医療従事者により(透析室における)標準予防策がCDC勧告のとおり実施されていた。VRSAの発見後CDCの(VRSAに関する)勧告に従い、当該患者へのすべての接触における手袋・ガウン・マスクの着用、その日の最終シフトにおける他の患者とは離れたエリアでの当該患者専用の透析機器による透析、当該患者ケア専任の透析技術者、当該患者専用のノンクリティカル器具使用、医療従事者の適切な感染対策に関する教育強化など特別な予防策が開始された。この患者が治療を受けた他の医療機関における感染対策状況の調査も進行中である。

報告者:
DM Sievert, MS, ML Boulton, MD, G Stoltman, PhD, D Johnson, MD, MG Stobierski, DVM, FP Downes, DrPH, PA Somsel, DrPH, JT Rudrik, PhD, Michigan Dept of Community Health; W Brown, PhD, W Hafeez, MD, T Lundstrom, MD, E Flanagan, Detroit Medical Center; R Johnson, MD, Detroit; J Mitchell, Oakwood Health Care System, Dearborn, Michigan. Div of Healthcare Quality Promotion, Div of Bacterial and Mycotic Diseases, National Center for Infectious Diseases; S Chang, MD, EIS Officer, CDC.

編集者注解:

この報告はバンコマイシンに対して全く耐性である黄色ブドウ球菌の初めての臨床分離を報告するものである。黄色ブドウ球菌はヒト感染の様々な範囲で起因菌となり、医療関連感染の重要な起因菌である。新しいクラスの抗菌薬の開発導入は通常それに続く黄色ブドウ球菌における耐性の発現を伴っている。黄色ブドウ球菌感染の治療は当初ペニシリンによって成功したが、その後1950年代にはペニシリン耐性黄色ブドウ球菌が病院や施設における大きな脅威となり、メチシリンやそれに関連する薬剤の使用が黄色ブドウ球菌感染の治療に必要となった。1980年代にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が新興し、多くの病院において蔓延し、バンコマイシンの使用増加につながった。1990年後半にはVISAの臨床例が報告された。

バンコマイシン獲得耐性の決定遺伝子であるvanAvanBvanDvanEvanFvanGはVREから検出報告されてきたが、これらの耐性決定遺伝子はこれまでは黄色ブドウ球菌の臨床分離株から検出されたことがなかった。腸球菌から黄色ブドウ球菌へのvanAの接合伝達は既に試験管内で実現されている。このVRSAにおけるvanAの存在は耐性決定遺伝子がおなじスワブ検体培養から分離されたバンコマイシン耐性腸球菌から遺伝子物質の交換を通じて獲得された可能性を示唆している。このVRSA分離株は試験管内において最近FDA認可された抗菌薬(すなわちリネゾリド、キヌプリスチン・ダルフォプリスチンなど)を含むいくつかのグリコペプチド耐性グラム陽性菌に有効な抗菌薬に感受性である。

1997年、医療感染制御実務諮問委員会(HICPAC)はバンコマイシン低感受性ブドウ球菌感染の予防と制圧のためのガイドラインを発行した。CDC勧告に基づくVISA/VRSAを抑えるための計画はいくつかの州衛生当局において確立している。医療現場においてはVISA/VRSA患者は個室に隔離しなければならない。それらの患者のケアをする医療従事者は接触予防策(すなわちガウン・マスク・手袋の着用、抗菌成分を含む石けんを使用しての手洗いなど)を行わなければならない。これらの感染対策はVRSA分離の確認後この透析センターにおいてただちに適用された。現在のところ、他の患者や医療従事者へのこの微生物の拡散は認められていない。

医療機関における抗菌薬耐性微生物の伝播を予防するための現行のガイドラインの遵守状況を改善する戦略は合衆国内のすべての医療機関において優先事項でなければならない。黄色ブドウ球菌はバンコマイシン耐性についてMIC手法により試験されなければならない。バンコマイシン耐性の確認されたまたは疑いのある黄色ブドウ球菌の分離はただちに州または地方衛生当局を通じてCDCの国家感染症センター、医療における質向上促進部門、電話800-893-0485に報告されなければならない。

参考文献:
(省略、原文参照 http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/wk/mm5126.pdf)


2002.08.29 Yoshida Pharmaceutical Co.,Ltd.

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