消毒薬テキスト第5版

指導にあたって

指導にあたって

「消毒薬テキスト第5版」の初版「消毒薬テキスト」は、吉田製薬株式会社の薬剤師を中心とするスタッフが執筆し、その道の第一人者であります大久保憲先生の厳しい監修を経て2001年にインターネット上で公開されたのち2002年2月に自社出版されました。その後、正式出版のため改訂の作業を行い、2005年2月に「消毒薬テキスト新版」が正式な出版物として発行されました。その後の新しい法制やガイドラインなどを反映すべく改訂を行い、今回第5版として刊行されることになりました。申すまでもなく、感染制御は、患者サービスの中の主要課題の一つです。その感染制御策を実践する上で、消毒薬の有効活用は最大の課題です。消毒薬は万能ではありません。一定の抗菌スペクトルを有し、このスペクトルからはみ出す微生物は必ず存在します。つまり、消毒薬の中で生存、増殖する株が、病院のどこかに生息している可能性を常に念頭に置かなくてはなりません。

一方、感染制御策におきまして、滅菌という完全な処理方法を適用できる対象はごく限られています。生体、環境、非耐熱性機器、大型機器などは、消毒処理しか適用がありません。消毒という不完全な方法を採用しなければならない点が、感染制御策を難しくしているのです。

少しでも感染率を低減し、また、アウトブレイクを未然に防ぐためには、各消毒薬の特性を充分理解した上での活用が肝要です。消毒薬汚染を防止する対策も重要な点です。本書は、これらの点を踏まえた上で消毒薬全般に関する情報を医療関連感染制御策と結びつけながら詳細に記載したという点で、意義のある書物であると確信しております。感染制御に関与する医師、看護師はじめ医療・福祉業務従事者の方々にさらに広く参照いただき、感染制御および患者サービスの向上に役立てていただくことを願いつつ、改訂を指導いたしました。

2016年9月
東京医療保健大学 名誉学長
小林 寬伊

消毒薬テキスト

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